L60×W35×H15mm
銅 ブロンズ 真鍮
2013
ノコギリクワガタ(鋸鍬形、学名:Prosopocoilus inclinatus)は、コウチュウ目・クワガタムシ科・ノコギリクワガタ属の1種で、5亜種に分類されている。 日本国内に広く生息している代表的な大型種のクワガタムシである。
名前の由来は鋸のように歯が数多く並んでいることから名付けられた。また、学名のinclinatus(インクリナトゥス)とは「傾斜の」という意味であり、大アゴの形に由来している。 近年、ヒートアイランドや天敵のカラスの増加などによって、都市郊外では生息数が激減していることが問題となっている。
体色は赤褐色から暗褐色まで変異がある。また、オスは体格による個体変異が顕著で、体長が50mm台後半以上の大型個体では大きく屈曲した長い大アゴを持つが、 中型個体では大アゴが ゆるやかな湾曲となり、 小型個体では大アゴが直線的になり、内歯は均一なノコギリ状となる。 しばしば「水牛」に例えられるオスの大アゴは、樹液をめぐるカブトムシとの闘いに勝つために進化したのではないかと考えられている。 メスは体色は赤褐色(まれに黒色)で、足も全体的に赤い。アゴはミヤマクワガタのメスに比べて細い。
一般に大アゴの力が弱いと言われることもあるが、闘争本能が強く、活発であることから、他のクワガタムシよりも有位な地位を占めることが多い。
樹を蹴ると、付節(爪を含む短い節が連続している部分)の感覚毛で震動を感じ擬死して落下してくることから、この習性を利用して古くから少年達に採集されてきた。この危機回避行動は樹上で天敵の鳥に発見されやすく樹からわざと落ちることで下の草むらに逃げ込むための方法なのだが、都市部では落ちても下が草むらではない事もしばしば。都市部で激増しているハシブトカラスに捕食され激減する要因ともなっている。
ノコギリクワガタは休眠と呼ばれる行動をとるクワガタで、休眠とは羽化後しばらくの間、活動しないで蛹室内でじっとしていることである。オオクワガタやコクワガタなども羽化後しばらく蛹室から出てこないが、本種はその時間が桁外れに長く、夏に羽化した成虫が活動するのは翌年の夏になったりする固体もいる。
なぜ、そのような行動をとるのかは諸説あり、今のところハッキリとした理由はわかっていない。また、休眠を全ての固体が取るわけではなく、休眠などせずにすぐに行動する個体もいる。
本作品は、2010年八月の展示用に、展示の顔になってもらうために制作した作品である。可動箇所はボディー、脚、大顎と触角であり、本種の最大の魅力である水牛型の大型個体をモチーフに作成した。ノコギリの由来になったとも言われる小型固体もいずれモチーフが手に入ったら作成したいと思う。